オートマトンの夢/梅昆布茶
く。
繭はあたかも自分の精緻な働きを見せつけるかのようにかいがいしくすみずみまで僕の
体を衛生の見本よろしく仕立て上げる。
ただしそれはこの繭の仕事のほんの一部にすぎない。
それは遠い昔にあった一番小さな社会の構成単位であった家族と家庭というしくみのすべてを内包してときに自在にその姿を変容させながら
つねにこの小さな世界の断片の小部屋を機能させかつさまざまな夢をもみさせてくれる身近な全能の天使なのだ。
すでに夢と絶望を見尽くした僕らはたぶんいつしかすべてのこの世界の調整をこのオートマトンに委ねることによって
恒久平和という免罪符を自らの創造した文明の結論として導き出し
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