鳥葬/紅月
よと
被食者たちがおごそかに食事をはじめ
明け方には巨きな骨だけが残されているから
“明日までに半分ころしてください”
訃報が語り継がれるたびに語彙は罪を宿し
罪という言葉を大仰だとわらう声は
まぎれもなく残された骨のメタファ
(いま、
すこしだけ
銀の傾斜を孕んでください、)
暴食は浸水のようなもの
水面に射し込む人影に亡霊と名付けるのはよしてください
冬の抜け殻は透けるような銀色をしていて
まあそれは嘘なのですが
嘘が嘘として“世界”に君臨しつづけるように
発話されたときから暴食がはじまるのだとしたら
いま、
傾斜を転
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