鳥葬/紅月
 
を転がってゆく幾億もの容器がうつわであることをやめ
死に還ろうとしているような気がして
(いま?)
かれらの消息を現像するべく
陽を閉ざしたあおい自室の中で何度も自殺は試みられた
“それはわたしでありあなただ、比喩として”
“世界”のなかでただひとつ全知全能の
羊たちを殺戮する猟犬の瞳は燃えるようにあかく
その炎に次々と投げこまれていく原稿用紙はすべて
“わたしたちの雪解け”という一節で完結していた、
 
 
 
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