八月は歌の葉月 人と人外の巻/小池房枝
 
五月蝿(さばえ)なす少女らは街を飛び回り制服だけが九月を待ってる
 
椅子の名はサヤカとソヨコ 練馬区の下赤塚にて少年の部屋

アルジャーノン、ネズミの名前は覚えてる。青年の名は忘れてしまった
 
ポンと蹴られニャンと鳴くなら猫だろう囀りたいなら歌わせてやる
 
プリズムのヘキサグラムの残像は緑 刑事は家路につきぬ
 

満天の初見の宇宙(そら)にも迷わない 無知と未知とを受け止めて立つ

無人売店「ヤサイ良心販売所」売ってしまっていいのかほんとに
 
空にまた覚束なげな若ツバメついつい両手をさしのべてしまう

ねぇピート夏への扉が欲しいなら何処でもド
[次のページ]
戻る   Point(3)