大切な人をなくしたあともつよくいきたひとの作品 茨木のり子とテッド・ヒューズから/イダヅカマコト
 
なく、夫のいない世界を生きていることを確かめた作品にも思えます。
 三浦の死後31年を彼女は生き、「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」(『自分の感受性くらい』)と技巧をすてたつよい言葉を残すだけでなく、50歳を超えてから学んだ韓国語で韓国の現代詩を翻訳しました。その力づよい仕事の支えとして夫へあてた手紙のような詩はどんな力をもったのでしょうか。
 同じようにパートナーへのおもいを人知れず記し続けた詩人に1998年に亡くなったイギリスの詩人、テッド・ヒューズがいます。イギリス王家に任命された詩人として多くの名誉にめぐまれた彼の最初の妻は作家のシルヴィア・プラス。2003年に『シルヴィア
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