とうもろこしを茹でながら/そらの珊瑚
 
ることはなかった
それについては誰も何も言わなかった
気づいても言わないほうがいいことがあるのだろう
「ほんもうってなに? おねえちゃん」
「しあわせってことかな。よくわかんないけど」

それから私たちは
ハニーバンタムごっこをして
遊ぶことを止めた
家族に咎められたわけではない
死にまつわるもので
それ以上触ってはいけない気がしたのだろう
ましてや
それで遊ぶのはいけないと
あの頃
死は
遠い遠い特別な存在だったが
年月を経て
今の私には
それはちょっとだけ
身近かになった
今まで命を落とすことはなかったけれど
それはただ幸運だったのだろう
そんな幸
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