とうもろこしを茹でながら/そらの珊瑚
な幸運がいつまで続くのかは
誰にもわからない
毎年夏になると
大好きなとうもろこしを
大きな鍋でぐらぐらと茹でる
めいっぱい茹でる
もうこれ以上は食べられないというまで茹でる
それが一年でも多く
味わえたら
それだけで本望という気がする
あの頃
とうもろこしの一粒一粒を
前歯でこそげとるように
時間をかけて食べるのが好きだった
あの頃
時間は余るほどあったから
そんなことをして時間を浪費していた
子どもたちが
手を離れつつある今
そんな時間が私のところへ
ふたたび戻ってきたようだ
しあわせなことに
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