6/16/はるな
いというものはそういうものでした。
わたしは、ずっと、かたちというものが恐ろしかったのだと知りました。
境界や、時間にとらわれているのは、そういうことなのだとおもいました。
あの数々のグラス、よく磨かれたカトラリー、選び抜かれたクロス、良く香る花に埋もれるようになって、そうだったのだとおもいました。
それは良くも悪くもわたしが手に入れたかたちでした。恐ろしいことでした。走って逃げてしまいたかった。ずっと笑っていたのは、そういうわけです。
わたしは、あの日に人々のまえで(神というべきもののまえで)誓いというものを立てるまで、夫のことを、愛していることを疑っていませんでした。もち
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