最終考察あさき 前夜祭 -幸せを謳う詩-/只野亜峰
 
では、この曲に出てくる人物をさっとおさらいしておきましょう。先ずは、主人公である母とその子供(おそらく文脈からして息子)、母の物語で語られる父親、キネマを上映する爺と、キネマを見る少女、そして前述の白髪の少女ですね。我々の業界では「キネマを見る少女」と「白髪の少女」を同一の存在として見る傾向が少なからずありますが、わざわざ「白髪の」と脚注を入れているあたりで別人と考えるのが妥当かもしれません。そもそも映写機の動きからさっするに「少女」は観る側であり、いわば劇中劇である母子の物語に出てくる「白髪の少女」は劇中劇の登場人物という風に解釈するのが自然であるでしょう。

(1)父親は本当に死別であるの
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