最終考察あさき 前夜祭 -幸せを謳う詩-/只野亜峰
 
るのか

 この歌は素直に読めば、夫に先立たれた未亡人である母が、残された我が子と供に強く生きていこうという決意を固める物語として捉える事ができます。普通に考えていい話です。しかしながら終始禍々しい曲調で語られるこの物語が果たしてそんな爽やかな物語を語るものだろうかと考えると疑問が残り、語り部である爺の嘲るような言葉の節々にもそれを読み取る事ができます。どうやらこの母の見出した「幸せ」というのは一筋縄ではいかない事が窺い知れて来ました。

――幸せは 続かない 阿呆であることが 幸せなときもある

 まぁ、こんな風に作者からすら罵られている可哀想な感じの未亡人ですが、阿呆とか
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