ゆっくりとうつりかわっていく季節/影山影司
落ちているものは高価になり、拾わなければ自分の持っていたものが失くなってしまう。ある時、スケジュール帳が落ちていたので拾うと、俺の字で俺の予定が書いてあった。こればかりは気持ち悪くて、すぐにガスコンロで焼いてしまった。
いたずらにしては手が込んでいる。月末、払込用に万札を茶封筒に入れて保管していたのだが、それを家の前で拾ったのには驚いた。中には紙幣が十枚ほど入っていて、これは俺が保管していたものと全くの同額だったのだ。結果的に特をしたが、誰が一体何のためにこんなことをするんだろうか。
そろそろ警察に通報したほうがいいのかと悩んでいた矢先、俺の家の前に男がうつぶせに倒れていた。
「大丈
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