ゆっくりとうつりかわっていく季節/影山影司
 
あって、名札は近くの草むらに投げてしまった。翌朝起きて探してみたが、どれだけ探しても名札は見つからなかった。不思議に思いながらも、出社するとそんなことも忘れてしまった。
 それから数日後、俺は自分の名札が失くなっていることに気がついた。ずっと同じスーツで使っていたのに、布地が千切れた訳でもなく、誰かが針を外して抜き取ったようだった。不思議に思いながらも事務に頼むと、一週間後には新しい名札を貰った。発注業者が変わったらしく、よくよく見ると前に落ちていた名札と同じピンクがかったつくりだった。

 一週間程間を開けて、こういうことが繰り返し起こった。
 電池、シャツ、鞄、イヤホン……だんだん落ち
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