時計のない部屋/……とある蛙
の彼方の猫
そうだ、チシャ猫だ。
黄色の煉瓦通りを足早に通過する
二階建のユニオンジャックのバスは
一二本の獣の足を持ち
黄金のパスモで乗車しようと
カウンターにかざすと車掌は乗車拒否
※ワンマンではなくリャンワン
荒野の真ん中で野宿する
俺の寝袋は薄紫に紅で
たき火はとうの昔に消え果て
空腹と寒さでまたズルズル歩き出す俺
ホームレス的な自分の足に絡みつく記憶枝葉末葉。
全て記憶は俺の都合の良いように整理されていたはずなのだが、
絡みついて離れない。
直ぐ目の前にある家に灯りはついている
とにかく野宿は寒い。
辿り着いた家屋は一部屋しか無く
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