消えた電池のこと/はるな
日も電波さえ届かなかった地方)の出身だということもあり、インターネット、ツイッターと情報をみていくうちに仕事から早退してきた夫と青ざめていたのだがそれでも為すすべはなく、ただ無事を祈るばかりで、かといって仕事を休んで飛んでいけるでもなく、という状況であった。しかしそのなかで何度も(夫があそこにいなくてよかった)ということはくっきりと考えた。無論それは永遠に口にすることはない言葉ではあるけれども。
ただ、それでも12日、普段のように洋服を畳みながら、それらを売りながら、レジスターの数字を押しこみながら、来る客のだれもが「なんだかすごいことになってますよねえ」と口にするのを否定する気持ちにはならなか
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