Days of cat/そらの珊瑚
デコラティブな
(お姫様のような)スプーンだったので
飾っておくほか
使い道がない代物だった
時々ナナが
私の家に遊びに来ることがあって
鍵をかけていない
リビングのサッシを自分で開けて入ってくる
そこに誰もいなければ
和室のふすまも開けて私を探し
チーズをおくれとねだるのだった
そのままくつろいでいく(ふり?)こともあれば
食べ終わると同時に
余韻も残さずに
さっさと出ていく(正直!)こともあったけれど
サッシを閉めずに出ていくので
「閉めるのは猫には無理なんでしょうね」
と言ったら
無言で睨まれたっけ
男に
「泊まっていくのは無理なんでしょうね」
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