器官なき身体の覚書/イリヤ
 
ロイトはリゾームに背を向けている、その発見の手前で。
また彼の論文におけると、神経症患者は事物の比較や同一化をおこなうのに対し、精神病患者は名詞をそれらが包摂する集合を示す普通名詞として用い、“言語”の統一性、同一性を象徴する。フロイトによって損なわれてしまったのは、強度としての固有名詞と、それが瞬間的に連結する多様体との“関係”なのである。フロイトにとって言語とは、物が消滅しても言語はまだ物に同一性を与え、あるいはねつ造し、撞着する対象なのである。シニフィアンにおけるこの依存こそ、非意味的な固有名詞に代わるたちの悪い統一性の布石であり、陰険な物語りの始まりであり、そこに私たちは立ちあっているの
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