【 詩的恋愛論 】/泡沫恋歌
いる内に別れた方がきれいな想い出のままで終われる。
愛とか恋とか……そんな言葉を無防備に信じられるほど、自分は若くはないのだと黎子は分かっていた。永遠の愛とか、至上の愛とか、そう思えたのは一時の錯覚でしかなく、恋愛とは、ふたりでするのではなく、心の中でひとりでするもの……かも知れないとさえ思えてきた。
詩人の黎子は生きた言葉が欲しくて、男の心をいろいろと弄るのだ。そこから溢れ出た言葉のエナジーを吸収し、インスパイアして詩作をしている。
まるで、吸血鬼カミーラのような女なのだ。
詩人は嘘付き、そして妄想家――。
しょせん他人の言葉など信じていないし、彼女は自分の妄想を真実
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