反転した世界ーーー夢/yamadahifumi
 
ッドに座った。僕は男を見上げた。・・男はジェントルマンの出で立ちでーーシルクハットと茶のスーツに身を包んでいた。もし素面ーーつまり夢から覚めていた状態なら、「気取ってやがる」と内心嘲っただろうが、僕はそんな気はしなかった。僕はその格好を「すんなりと」認めていた。
 「君はよくやったよ。本当によくやった」
 と男は立ったまま語り始めた。
 「君はよくやったーーー本当によくやったよ。・・・ところで、この世界の他に何個別の世界があるか、君は知ってるか?」
 と男は僕に聞いた。
 「わかりません」
 と僕は答えた。
 「数え切れないぐらいだよ。全く数え切れないぐらいだ」
 と男は答えた。
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