白痴王の湖/和田カマリ
いフェロモンを発していた。俺は、古式泳法よろしく、背後からナタリーに近づき、素早く羽交い絞めにすると、下半身の氷柱をあそこに突っ込んでやった。
バリバリ
膜が裂ける音、生まれて初めて処女と出来た瞬間だ。
しかし、鳥でいる時間があまりにも短かったせいなのか、俺は翼の扱いが下手で、うまくホールドできず、ナタリーを離してしまった。彼女は鳴きながら湖面を滑走すると、灰色の空へと飛び去って行った。お尻から何かを垂らしながら。血、ではなかった、もっと透明で、一部分黄色いイメージ。
「約束と違うやんけ!」
ナタリーは処女じゃなかった、産卵寸前の身重の雌だ。
俺は狂ったように羽根をバタ
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