帰郷/aria28thmoon
しか弾んだように聞こえました。
その日からずっと、彼はわたしを描きつづけました。
それと共に、ずっと月に2度ずつだったアトリエ通いが週に1度、3日に1度と増えてゆき、気がついた頃には毎日アトリエに通うようになっていたのでした。
彼の心の水たまりにはいつもわたしが映し出されており、わたしはほとんどその水たまりを住み処としているようなものでした。
4年という歳月を過ごしたその場所の記憶が今もこうしてわたしの奥に深く深く刻み込まれていることに気がついたのは、ふるさとを離れてからしばらく経った頃のことでしたが。
――そう、気づいていなかったからこそ、今わたしはこの大都会のど真ん中に、ひと
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