白象のいた港(掌編小説)/そらの珊瑚
柄。貧乏漁師の倅の新さんとは、どうやっても釣り合わない。
「新さんと結ばれないなら、いっそこの港に身を沈めてしまいたい」
お絹ちゃんは、泣いていた。僕はなんとかしてあげたくなった。
そうだ! 明日、シャムに向かって出港する貿易船がある。あれに乗って外国へ行くっていうのはどうだろう。密航は大罪。けれど二人は決心した。ぼくの長い鼻を長い滑り台のようにして、沖合いの船へ二人はたどりついた。
翌日の朝、出港の汽笛が鳴り響く。
「ありがとう、白象」
「元気でね。シャムでぼくの仲間に会ったらよろしく伝えてね」
白象は、神の使いと呼ばれていて、僕はシャムにいた頃、王子さ
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