サナトリウム(掌編小説)/そらの珊瑚
と言って、冬の陽射しのように、うすく微笑んだ。
「ねえ、見て。真っ白なシーツが風にはたはた泳いでるわ。なんだか、生きているみたい。いいわねえ」
「本当だ。なんて元気がいいやつらだ。よし、暖かくなったら、また一緒に外を散歩しようじゃないか。その時は君だって、あいつらに負けないくらい元気になっているさ。空に飛んでいく位にね」
僕は嘘吐きだ。偽善者だ。けれどそんな僕のことを、いつも君は許してくれていた。
「ねえ、大分長くなったでしょう。」
君は寝台に身体を起こし、編みかけの襟巻きを枕元から取り出して見せた。
「ほう、上出来じゃないか。誰かにプレゼントするのかい?」
「そうねえ
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