【 嘘と男と着信メール 】/泡沫恋歌
 
男が嘘をついた

嘘だと分かっていて
わたしは騙されたふりをする
嘘だと言ったら
瞬間に
嘘が本当の嘘になってしまうから
すべてを失いそうで
怖くて
わたしはそれを言えない

男には何度も騙されてきた

彼の言う
「愛してる」はすべて嘘だった
わたしの心の傷に
「愛してる」という言葉を
絆創膏みたいに
ペッタンペッタン貼り付ければ
愛されているような
錯覚に
わたしは陥った
剥がせば傷口から血が流れるから
とても剥がせない

愛なんか
永遠でもなく 至上ではなく
ただの気まぐれな風だった

携帯に着信メールが届く

ピカピカ点滅して

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