霊視体験/アラガイs
けていると、瞬間、台所の方向から誰かがすぅーと出て行ったのがみえた 。胴まわりから足元まで確かに男の気配だった。「義理の弟か…」もっとも、出て行ったのか、入って行ったのか…今ではよく思い出せない。それを振り返ろうとすればするほど、前後の時間と空間さえわからなくなってくる。
それにしても足音がよく聞こえなかった。わたしはすぐに襖を開いて母に確認をしたが、(さっき来ていたから義理の弟だろう…)一度目を大きく開いた後は、また何事もない様子でテレビを見ながら言った 。
猫好きな妹夫婦の家はすぐ脇にあり、義理の弟は休みの日には早くから餌やりによく来ていた 。その日も早くから来ていたのは、冷蔵庫の中
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