ファースト・エンカウンター/板谷みきょう
た僕の愛。
いや、僕自身。それが虚ろな目をして
部屋の隅で再び広くて大きな海を眺めている。
僕が歌っていた『バレンタイン・デイ』と云う唄は、
少女へ告白をする少年が、バレンタイン・デイに、
事もあろうに学校の昼休み勇気を持って、クラスのみんなの前で
少女にチョコレートを渡すと、
彼女から「チョコレートは女が渡すものよ。」とたしなめられ、
クラス中の笑われ者になってしまった。
という恋の悲劇を歌っているものだった。
僕は、今もってその唄のままの
告白しか出来ないでいる様にしか思えないのだけれど、
今はホワイト・デイ或はクッキー・デイがあった。
デパートの化粧品売
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