イヴの罠/まーつん
鳴らしながら、橇の前に座って、トナカイの手綱をさばく本物のサンタを目撃して、どれだけ多くの不信心者が、神の愛と奇跡に目覚めるのだとしても、そんなこともどうだっていい。もしも我が家に足を向けるなら、今夜彼は僕のものだ。
別にサンタに恨みはない。ただ問い正したいだけだ。なぜクリスマスが、ある種の人々を孤独にさせるのかということを。例えば僕のような男たちを。恋人のいない男たちを。
彼が答えてくれるかどうかはわからない。そもそも彼は贈り物を届けているのであって、世間話をしたいわけではあるまい。特に、時間と不満を持て余した僕のような男とは。
だが、逃げようとしても無駄だ。これは決闘なのだ
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