43ページ、つまり44ページ目/はるな
 
なことだ。いつでもできる。そうやって幾度も新しいものを使ってきた。でもそうして、新しいものを用意しても、そのうちにまたどこかのページを破りとって手帳にはさんで過すだろう。そして、気に入ったその場面も日々にまぎれて、ページの足りない小説が手もとに残り、破りとったことも、そこに書いてあったことも忘れて。


朝だ。
夫は仕事へいってしまった。コーヒーを、いつも三分の一ほど飲み残したまま、出て行ってしまう。冷えてしまったそれに牛乳を足して飲んでいるわたしを夫はしらない。一日ずつ、わずかに変化する光のかたち。上から横から、窓を開ける音がする。たまに子どもの泣き声も聞こえる。開いてさかさに置かれた読
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