メラカトレへの撹拌/鯉
フィルターらへんにくっつけているのか、わからない。
「しかしおれが開けたピアスの鋭角からはなにも感じなかった
子供が嘘をついていないときの表情のように明らかな感覚を
確かにおれはその金属から受け渡されていた」
女の子たちははじめからほんとうのことしか言っていなかったのかとおれが勘繰った隙にわずかに空気が振動する。遠巻きの火葬場から煙が濛々と昇り立つ、養鶏場からはいつも通り似非のにおいがして共同墓地はいつまでも遠い。卒塔婆の香り立つのが夢想され、湿り気のないつま先から灰がくるくる舞った。おれはわからない。孤独に打ちひしがれているとするならおれはあのミニバンに乗っていたべきだろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)