ボクのマスターベーション(3)/花形新次
 
つもより親しげに聞こえた。
 「この子風邪気味で、少し咳をするんです。でも今日はグループホームから戻って来ている日で、どうしてもこちらで散髪をしてもらいたかったので、ご迷惑とは思ったんですが来てしまいました。マスクをさせますのでよろしいですか。」母親が申し訳なさそうに言った。
 「全然大丈夫ですよ。」と男性が優しい静かな声で答え、女性も「気になさらないで。」と言った。
 母親はホッとしたように、「ああ、よかった。ありがとうございます。」と言い、子供をイスに座るよう促した。
 「いつもの通りお願いします。」母親が言うと、店の男性は「はい、わかりました。」と答えた。
 すると、直ぐに別の客が
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