glossolalia/雛鳥むく
 
ていくのを、
(立ち尽くして。)


あなた(と(語りつぐときわたしの手は真っ赤に濡れ(器が少しず
つ遠ざかっていく、この街の輪郭(眠らない都心でまるで泡沫みた
いな卵をたくさん産みました(いくつの春を数えた?(こそばゆい
延命を続ける現像室の影(暗幕で閉ざし、その深淵を中心とした首
都圏でわたしたち交合をした(だいたいの語彙はとっくに逃がして
しまったから、


燃えているのか
(萌えているのか)
不明瞭な日本語の森のなかで、
わたしたち
(なぜ異語が溢れる?)
離れてゆく
街の確かな質量が、
(街?)
死角で、
息を殺したまま交合する甲虫



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