喫茶店/鈴木みか
 
ない町の、しらない喫茶店にきています。住宅街にあって、おうちを改造したような、新しい、シンプルな、でもどことなくあたたかいお店。入り口にはちいさなクリスマスツリーが飾ってあって、カウンターと、テーブルが6組。ジョッシュグローヴァンみたいな音楽がささやかにかかっていて、あとはキッチンの音と車の音が遠くに聞こえます。モーニングセットは、ネルドリップのコーヒーとホットサンド、ちいさなサラダに、りんごが3かけ。
郵便屋さんのバイクが外を通っています。白い車と青い車がすれ違いました。はじめてきた、しらないまち。そこにはちゃんと生活があって、一日があって、朝があって、よるがあって、私が会ったこともない、もし
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