白い本/……とある蛙
 
気づいた。扉を閉め、来るとき歩いた坂道を早足で上っていったところ、ほどなく例の巨大な塔が右手に現れ、意識が薄れて行く。何かに転倒しているようでもあり、薄れる意識の中で視界一杯に冬空が拡がっている。

 どこかの内部、自分が顔の裏側を見つめているのか存在しているのか 不明。
細い両目から差し込む光の筋だけではイメージの光量が足りない。
そのため、頭蓋骨の内側を照らすプラネタリュームは暗く星の光は毛穴ほどの大きさにも見えない。
 頭蓋骨の内側は漆黒の闇に近く、何の映像も浮かばないことが度々ある。
 両目の窓から外界を見ても、グロテスクな風景、魚の骨のような並木とあまり舗装されていない泥の道
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