白い本/……とある蛙
 
ンタライフデッカ』という表題が表表紙に印字されている。相変わらず印字されたもので印刷されたものではない。何の疑いも無く今度はその本を手に取りぱらぱらと何頁か眺めてみた。そこには見覚えのある木造校舎の写真や集合写真が、駒落ちした映画か、ぱらぱら漫画のように見て取れる。静止画像がどこか動いているような奇妙な感覚に囚われている。
 何も言わずに購入する決意をして奧の店主にその白い本を差し出した。金額は三五〇〇円、全く妥当な金額で、消費税と併せて三六七五円をそそくさと支払い、その本を引ったくるように受け取り、ショルダーバッグの中に納めた。
 店主が中年の女性だということに本の代金を支払うとき初めて気づ
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