白い本/……とある蛙
をかけている。校庭の桜木の葉は落ちているが、犬が一匹飛び跳ねている。目の前に裏門のスチール製の扉があり、汚いセーターを着たガキどもが顔をくっつけて開門を待っている。そうだ、今は朝の午前七時二八分だ。学校での最優先課題は校庭での遊び場の確保。つまりは学校でのオフの生活、当初から遊ぶための空間で透明。
明滅する校庭の裏門から自分の脳髄が始まる。それ以前の置き去りにされた自分は鉄筋校舎の屋上にいて、曇天の滴に垂れ流されて下水に溶け込む。
真っ暗な下水管を抜けるとそこにまた自分の部屋が見える。
自分の部屋から眺める窓の外はあの古本屋の店内だ。アルファベット順に作者論が並べられている。外はニ
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