田村隆一論??フィクションの危険/葉leaf
 
の命題を信じていない。だから虚構的な発言は「主張」ではなく、主張の変異体である。虚構的な発言は、その発言の内容が真か偽かを問題としないような慣習に従ってなされる言語行為である。つまり、発語内行為は、命令や約束や主張というそれぞれの慣習的属性を帯びているが、主張行為の変異体として、フィクションは、発言内容の真偽を問題にしないという属性を帯びた種類の言語行為なのである。
 一方、マーシャ・イートンは、虚構的な発言を、通常の言語行為を架空の語り手へと転嫁する行為ととらえている。発語行為・発語内行為・発語媒介行為をそれぞれ転嫁する行為としてとらえるのである。
 また、マーガレット・マクドナルドは、フィ
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