田村隆一論??フィクションの危険/葉leaf
致しないときに起きる。
1.2.語用論的フィクション(1)――言語行為論
意味論とは言葉の内容についての議論である。それに対して語用論とは言葉の用いられ方についての議論である。例えば、「そこをどけろ」という命令文は、意味論的には「相手がそこをどける」という内容しかもっていないかもしれない。だが、「そこをどけろ」には、その内容に、相手に対する命令という話者の態度が付与され、かつ相手がそれに対して反応する、というコミュニケーションの次元での動き方があり、その動き方を解明するのが語用論である。
まず、ジョン・サールの見解を挙げよう。サールは、言葉を発する行為を、発話行為(utteran
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