さよならパリ??高塚謙太郎とボードレール/葉leaf
起こっていることをまとめよう。高塚もボードレールも、攻撃性と残酷さと愛情を備え、音楽性のある詩を書き、無から創造したものを無へと投げ込んでいる。ただ、その態様が微妙に異なっている。
両者に共通するのは、世界や自己と積極的にかかわっていこうとする激情である。それが一方では攻撃性として現れ、他方では愛情として現れる。それは、両者が世界や自己に対して自覚し独立した者であるからだ。虚無に飽き足らず、そこから何かをつかみ取ろうとする者であるからだ。世界や自己との距離が大きいほど、世界や自己は強く対象化され、深い関与の対象となる。
ボードレールが倦怠を嫌ったのは、倦怠が自己が世界に埋没して世界からの独
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