さよならパリ??高塚謙太郎とボードレール/葉leaf
 
まよい方をしている。一度イメージをつかんでしまえば一気にそれを無反省に並べていける。それに対して高塚は希望と絶望をともに抱きながらさまよっている。一度イメージをつかんでも、それが自らの許容する詩として成立するかどうか分からないからだ。高塚はせっかくつかんだ言葉でも時には破棄し、それを採用し並べるときも慎重に並べていく。
 詩行を求めて虚無をさまよう段階では、ボードレールは虚無と和睦し、高塚は虚無と敵対する。一方で、詩行を得てそれを虚無に投げ込む段階では、ボードレールは虚無に対して無遠慮であり、高塚は虚無に対して礼節を尽くす。

2.6.さよならパリ

 さて、ここで内部と外部の境界で起こ
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