さよならパリ??高塚謙太郎とボードレール/葉leaf
 
飾していた。「肢体」「背」「乳房」は当然に「少女」という概念と典型的に結びつく。それに対して高塚は、「姫」を、少女とは典型的には結び付かない要素で修飾している。「厩」「勘定違い」「齟齬」など。つまり、ボードレールの修飾が「少女」という概念を中心に求心的であるのに対し、高塚の修飾は遠心的なのである。高塚においては少女への愛はより遠くへと拡散し、そこから隔絶を経て再び集約するのである。その集約の高速性が、愛情の密度を増している。

2.4.音楽性

 詩の音楽性は、従来(1)感情的側面、(2)聴覚的側面で語られてきたように思う。まず、(1)詩の展開するイメージの変転や劇的要素が惹起する感情的印
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