さよならパリ??高塚謙太郎とボードレール/葉leaf
、「ドロテ」という言葉に対するより高められた愛情が表現される。つまり、ボードレールの愛情は、(1)ドロテに集約した状態から、次に(2)ドロテを取り巻く事物やドロテの性質へと拡散し、そのことによって再び弁証法的に(3)修飾によってより高められたドロテの純粋な存在へと集約していく。
高塚においても、「姫」に対する愛情は、「姫の純粋な存在」への愛情から、「百合」「炎」「五指」「頬」への愛情へと拡散し、その拡散=修飾の彼方に、より高められた愛情として弁証法的還帰を遂げる。だが、高塚においては、修飾による拡散の度合いがボードレールよりも大きい。ボードレールは少女を、少女と経験的に結びつき易い要素で修飾し
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