10-31/はるな
ういうものに心おきなく采配を委ねるように約束ができたらどんなにいいだろうか。
わたしがこれまでに誰からも傷つけられたことはないということを、どうやったら理解してもらえるだろうか。誰からも。わたし自身からも。わたしはまだ、傷つけられようかどうかを決めてさえいないのだ。そこまで踏み切ることはできないし、そこまでする必要も感じないから。
もう死なないで欲しい、と彼女はわたしに言った。そのときわたしがうれしかったのは、彼女が物事をわたしとごく近い場所から見ていると感じたからだ。
彼女も、わたしも、一度ではなくて、何度も死んだ。何度も物事をあたらしくした。でももう気付いてしまった。何度死ん
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