御伽話その4〜平凡〜/永乃ゆち
。定期的に薬を飲む事が
彼女の支えだった。
僕はいつしか、彼女の支えになりたいと思うようになった。
自信は・・・あったんだ。
彼女も僕を必要としていたし
二人一緒なら、すぐに彼女の病気も治ってしまう。
そう考えてた。
そして。
十年が過ぎた。
彼女は相変わらず、一日六十錠近い薬を飲んでいる。
そして、腕や手首の傷は増える一方で
あの頃無かった首の傷まで深い跡を残している。
結婚一年目の夏。
妻は。
高架から飛び降りた。
僕は自分を責めた。僕じゃ駄目だったのか。
何も分かってあげられてなかった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)