御伽話その4〜平凡〜/永乃ゆち
 
ったのか。
彼女は下半身を粉砕骨折し三か月の入院となった。
そして辛かったであろうリハビリ。
足には後遺症が残った。

僕は、この凡庸な僕は、生まれて初めて
自分の生きている意味を考えた。
最愛の妻すら守れずに、僕は何をしてる?
その答えをくれたのもやはり妻だった。

「そばにいてね。ずっといてね。ただそれだけで、良いから」



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あなたが好きよ。
それはどんな魔法よりファンタジック。
そばにいてね。
それはどんな願いより贅沢。
一生よ。
一生一緒にいましょうね。
この約束は誰にも汚せない純粋。
私の声に笑ってね。
私の笑顔にキス
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