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の力を緩めないようにしている。
「アッハッハ」
 ぼくは三人の目がおびえているのに気づいた。三人の手はぶるぶるといつか彼女に使ったバイブレーターみたいに揺れているし目元は潤んで眦から瞳でも落ちてきそうだった。ぼくはどうしたらいいのだろうと耳をすませた。隣の部屋からも「アッハッハ」と聞こえた。泣きそうな声だった。
「アッハッハ」
 笑い声が聞こえた。ちょうどバラエティ番組でミイラの扮装をしたコメディアンが出てきていた。やっぱり震えている。おれはごわいんだぞおおお、と叫び声を上げながら観客席に走っていく。悲鳴が聞こえる。観客の顔がクローズアップされる。慄いているはずなのに目だけ別の生き物のよう
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