猫の森であいましょう/済谷川蛍
寂しげな顔をし、ニヒルな笑いも付け足した。
「どれくらい付き合ってたんだっけ」
腕を組み、うーんと唸って11月から1か月ずつ引いていく。
「……ちょうど、1年くらいだね」
僕はふいに鼻で笑った。どうして笑ったのだろうと思ったが、胸の奥から明確に現れてきた悲しみの感情は懐かしいくらいに熱く、元カノに置いていかれたのが悔しくて切なくて滑稽で、おもちゃ売り場に取り残された子供のように泣いた。
「女々しいな…」と呟き涙を拭いた。
「ちょっと、やめてよ」と怒ったような女性の声が響いた。どうやらどこかの席でカップルが揉めているようだ。
「泣くことに、男も女も関係ないよ」とNは優しく
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