心のギャラリー/さすらいのまーつん
僕には理解できなかった。傷つく、という能力を本当に持っているのは、自分しかいない、とどこかで信じていたからだろう。とんでもないエゴイストだが‥
さびしい人間だと、われながら思う。時々言葉で人の神経を逆なでしてしまう訳は、相手の人間性を実感できない、僕の感覚の鈍さにあるのだろう。相手を人間扱いしていないのだから、傷つけてしまうのは当たり前だ。さびしいから近づくという利己的な動機で動いているから、相手の心など見えてはいない。そのくせ言葉の扱いに妙になじんでるから、たやすく距離を詰めていく。
むき出しの果実を、ハサミで掴もうとするようなものだ。
ここまで書いてきて、少し気が滅入ってき
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)