心のギャラリー/さすらいのまーつん
の自分はそんな感じだった。
目の前の三人は、゛幸せそうな家族゛という記号に過ぎず、その見かけの下に様々な現実を抱えているであろうという想像は、まるで働かなかった。
自分の前を通り過ぎていく無数の単位-‥男/女、大人/子供、老人/若者、学生/社会人、人という人は全て、分かりやすいレッテルで仕分けられ、ボール紙で出来たぺらぺらの人形のように、記憶や経験という箱の中に手際よく仕分けられていった。
僕にとってリアルに感じられる唯一の対象は、自分がどう感じているか、ということだった。他人の内面は想像の枠外だった。暴力を振るう人間が、他人を傷つけて自分の存在を確認するということが、僕に
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