聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
 
い上げて眺めた。泥を払い顔にそっと電話を近づけ、会話の真似ごとをした。
 「もしもーし、そちらの時代は楽しいですかー? 未来は最悪でーす」
 彼女は思わず鼻で笑った。携帯をへし折り、海へ投げ捨てた。冷たい視線を海から車のトランクへと流し、カギを開けてその中からゴーグルと鉄パイプを取り出した。
 「さーて、獲物を探すかな」
 鉄パイプの重みを楽しむように振りながら散策すると間もなく獲物を見つけた。半分瓦礫に埋もれたロボットが少女に気が付き首を上げた。
 「コンニチワ」
 「こんにちわー」
 少女は残酷な笑みを浮かべ、ロボットの頭に鉄パイプを振り落とした。破片が飛び散り、油が噴出して、電
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