リュウグウノツカイ/済谷川蛍
子供が好みそうな露天風呂へと向かった。湯気で曇った扉を期待しながら開けると老人と中年男性が浸かっているだけで、そこにはまったく用はなかった。いかにも冷気と風が虚弱体質の自分には寒すぎるといった身ぶりで扉を閉めて再び探索すると、あの長い髪の毛と細い腰、小さくて綺麗な尻が目に飛び込んだ。私は少女を追ってサウナ室のドアを開けた。階段状の段差には待ち構えたかのように数珠オヤジが座っており、私を見て眉をひそめた(ここはなんて狭い世界なんだ!)。少女はそのまま子供らしい気まぐれや自由さで反対側の出口から出て行ってしまった。私は数珠オヤジに少女を追いかけていることを悟られないようにおどおどと段差に座り、興味のな
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