リュウグウノツカイ/済谷川蛍
も並んだマッサージチェアの1つに腰かけ、コインを投入した。
裸の美少女を追いかけて、私はホテルをさまよっていた。なかなか少女は見つからなかった。階段を駆け上がっている途中に自分が裸であることに気がつき、衆目を避けてトイレの個室へ逃げ込もうとした。ドアを開けると漆黒の空と鈍色の海峡が広がっており、何の疑問もなくその風景を見つめた。小さな星が次々生まれ、夜空に幾何学的な模様を描き、瞬きながら海の底へ儚げに沈んでいく。それが断続的に、あるいは連続的に、ときには連鎖的に繰り返される。
「お客さん」
身体を無造作に揺すられて目を覚ました。
「ここで眠られると困ります」
従業員らしい男性が
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